大槻班長の名を語る上で外せないのが、地下施設で繰り広げられる「地下チンチロ」での心理戦と裏工作だ。サイコロの出目で勝負を決めるシンプルな博打において、彼は周到な準備と心理的誘導を組み合わせて常勝無敗を誇っていた。仕込まれたイカサマ賽(シゴロ賽)の存在はもちろんのこと、相手の焦りや欲をあぶり出す緻密な仕掛けが敗者たちの判断力を削ぎ落とす。
相手を揺さぶり、自らの土俵に引きずり込む手腕。息詰まるサスペンスのなかで提示されるその戦術は、力ずくの勝利ではなく相手の自滅を誘導する極めて理論的なものだった。カイジによってその不正が暴かれる瞬間までの手に汗握る攻防は、作中屈指の名勝負として語り継がれている。