ナルコレプシーという疾患のパブリックイメージは、長年エンタテインメント作品を通じて形作られてきた側面がある。1990年代の名作映画『マイ・プライベート・アイダホ』で、リヴァー・フェニックス演じる主人公がストレスを感じるたびに路上で突然眠り込んでしまうシーンは、映画史に残る切ない名描写として語り継がれている。
また近年では、Netflixなどの動画配信サービスで放映される医療ドキュメンタリー番組において、突然身体の自由を失う奇妙な症状として取り上げられる機会が増えた。これらは疾患の認知度向上に寄与した一方で、ドラマチックに誇張された演出によって「奇病」としての先入観を生んだ側面も否定できない。現実に生きる患者たちが抱える日常生活のジレンマや、日々の葛藤を正しく理解するためには、エンタメの枠を超えたリアルな臨床データへの視点が不可欠である。