「たかがお札の向きくらいで失礼になるのか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、日本の贈答文化において、お札の表裏と上下は「慶事(お祝い)」と「弔事(お悔やみ)」を峻別する絶対的な境界線として機能しています。
お通夜や葬儀などの不祝儀では、故人を悼んで「顔を伏せる」「悲しみでうなだれる」という意味合いから、肖像画を裏向きかつ下側にして包みます。もしもお祝いの席で肖像画を裏や底に向けて入れてしまうと、期せずして不祝儀と同じ包み方になってしまうのです。
また、お祝い 新札 理由にも同様の深い配慮が込められています。慶事に新札(折り目のないピン札)を用意するのは、「あなたのお祝いを前々から心待ちにし、事前に銀行へ足を運んで準備していました」という歓迎の姿勢を形にするためです。使い古されたヨレヨレのお札は「急ぎでかき集めた」印象を与えてしまうため、相手への敬意を示す意味でも新札を確保するのがマナーとして根付いています。