日本国内で議論の対象となる「在日」という言葉の核心には、主として戦前からの歴史的経緯を持つ在日コリアン(韓国・朝鮮籍)の存在があります。この問題を正確に理解するためには、昭和20年代後半の日本の主権回復期まで時計の針を巻き戻す必要があります。
戦前の日本統治下において、朝鮮半島や台湾の出身者は「大日本帝国臣民」として日本国籍を有していました。しかし、1952年4月28日のサンフランシスコ平和条約発効に伴い、法務府(現・法務省)通牒によって日本政府はこれら旧植民地出身者の日本国籍を一斉に離脱させたとみなす措置をとりました。当時、長年日本本土に生活基盤を築いていた当事者たちの手記には「一夜にして異邦人にされ、参政権も法的な身分保障も不安定な宙づり状態に追いやられた」という痛切な困惑が記されています。
この国籍離脱措置に伴い生じた居住権の問題を解決するため、昭和40年の日韓基本条約および法的地位協定を経て、最終的に1991年(平成3年)に施行されたのが「入管特例法(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法)」です。この法律によって創設されたのが「特別永住者制度」であり、平和条約発効以前から日本に居住していた当事者とその子孫に対し、永続的な居住権を法的に担保したのが現在の法的枠組みです。
根本にある国籍法概要に照らし合わせると、日本は血統主義(父母の両方または一方が日本国民である場合に日本国籍を取得する)を採用しており、アメリカのような出生地主義をとっていません。そのため、日本国内で生まれ育った第2世代、第3世代、第4世代であっても、法的な手続きを経ない限り自動的に日本国籍を取得することはなく、身分上は外国人として在留資格を保持し続ける構造が維持されています。