劇中において両儀式がハーゲンダッツを口にする場面は、決して彼女自身が強いグルメ志向を持っているからではありません。公式設定や劇中の描写を丁寧に追っていくと、「黒桐幹也が買ってくるから」という極めてシンプルで尊い理由に行き着きます。
式は二重人格の片割れである「織」を失い、昏睡状態から目覚めた後、世界や他者との接点をほとんど断ち切って生きていました。そんな彼女の無機質なマンションへ足繁く通い、日常の空気と世俗の食事を持ち込んだのが幹也です。幹也がコンビニで選んで持参する定番の手土産こそが、少し贅沢な高級アイスであるハーゲンダッツでした。ぶっきらぼうに毒づきながらも断らずに平らげる姿は、式が幹也の存在を受け入れている何よりの証拠なのです。