事件発生から逮捕に至るまで、容疑者の足取りは周到に消されていた。防犯カメラの死角を突く緻密な移動ルート、偽名を使った潜伏先の転々——。警視庁捜査一課の専従捜査班は、数千時間に及ぶ監視カメラ映像の解析と地道な聞き込みを重ね、ついに東京都内の雑居ビルの一室に辿り着いた。
強制捜査が行われたのは、冷え込む早朝の午前5時すぎ。踏み込んだ捜査員に対し、容疑者は取り乱す様子も見せず、静かに両手を差し出したという。潜伏先からは複数の偽造身分証明書や特殊な通信機器が押収されており、組織的な逃亡支援が存在した疑いも強まっている。一課が執念で手繰り寄せた糸口が、全容解明への扉を開いた。