名曲の原点は、デビュー前の登竜門であった「ヤマハポピュラーソングコンテスト(通称:ポプコン)」にあります。1979年秋の第18回ポプコン本選会に出場したチャゲ&飛鳥は、この『万里の河』を披露してグランプリ候補に名が挙がり、同年の第10回世界歌謡祭でも入賞を果たしました。
当時まだ20代前半の学生気質を残していた飛鳥涼は、アコースティックギター1本を抱え、自宅の四畳半でマイナーコードを爪弾きながらメロディを紡ぎ出したと述懐しています。中国音階を意識したヨナ抜き音階(ファとシを抜いた東洋的旋律)を巧みに取り入れつつ、フォークソングの枠組みに収まらないダイナミズムを構築していきました。
そして、この楽曲をスタジオクオリティへと引き上げた立役者が、名アレンジャーとして名高い瀬尾一三です。瀬尾はアコースティックギターのアルペジオを主軸に据えつつ、哀愁を帯びたストリングスと力強いリズムセクションを配置。二胡の音色を彷彿とさせる繊細なフレーズを織り交ぜることで、フォークとロック、そしてオリエンタルポップスが見事に調和した独自の世界観を完成させました。