大手法律相談窓口や不動産売買の現場取材では、求積図の取り扱いを誤ったことに起因する深刻な近隣トラブルの告白が後を絶ちません。公的な裏付けのない古い求積図を鵜呑みにした結果、人間関係の破綻や巨額の金銭的損失に直面するケースが多発しています。
首都圏で中古戸建てを購入した50代男性は、当時の売主から手渡された数十年前の「敷地求積図」を信じ切って境界確認を怠り、隣地所有者との泥沼の紛争に巻き込まれました。
「仲介業者からは『古い図面ですが建築時の求積図がありますから、実測もこれとほぼ同じです』と軽く説明され、公簿売買で契約を結びました。ところが数年後、外構フェンスのやり替え工事を行う際に隣人から『お宅のブロック塀はうちの敷地に20センチ以上食い込んでいる』と怒鳴り込まれたのです。改めて土地家屋調査士に境界測量を依頼したところ、昭和期の手書き三斜求積図が現地と大きく食い違っており、実際に約3坪(約10平米)も敷地が狭いことが判明しました。隣人との関係は修復不可能になり、塀の撤去・再築費用に加えて境界確定の弁護士費用など計250万円以上の想定外の出費となりました」(購入者・取材時の証言)
SNSやインターネット上の不動産トラブル相談掲示板を分析しても、同様の生々しい叫びが数多く確認できます。
「親から相続した実家を売ろうとしたら、法務局の地積測量図が三斜法で作成された大正時代のものしかなく、実測したら登記簿より40平米も小さかった。買主から大幅な値下げを要求されている」
「隣が新築工事を始めたが、ハウスメーカーが持ってきた敷地求積図の境界線が、昔からある境界ブロックの内側に入り込んで引かれていた。勝手に越境扱いされて毎晩眠れない」
こうした紛争の根底にあるのは、「図面がある=境界が確定している」という致命的な思い込みです。建築確認申請に通っている敷地求積図であっても、それはあくまで「建築計画当時の申請者が主張した敷地形状」に過ぎず、隣地所有者がその境界線に同意して署名・押印した証拠にはなりません。境界標の確認を怠ったまま図面上の数値を妄信することは、紛争の火種を買い取ることと同義です。