Q1:ファンデルワールス力と分子間力はまったく同じ意味ですか?
A1:厳密には同じではありません。分子間力(Intermolecular forces)は「分子と分子の間に働く相互作用全般」を指す広い概念であり、その中に「水素結合」と「ファンデルワールス力」が含まれます。日本の高校化学などではファンデルワールス力と分散力をほぼ同義として扱うことが多いですが、学術的には永久双極子間の配向力や誘起力も含めた総称がファンデルワールス力です。
Q2:ヤモリは濡れた壁や水の中でもファンデルワールス力で壁に張り付くことができますか?
A2:極端に濡れた表面では滑り落ちてしまいます。水分子がヤモリの足裏の毛と壁の間に入り込むと、水膜の表面張力や潤滑作用によって毛のナノ構造が壁面に十分接近できなくなり、ファンデルワールス力が機能する1ナノメートル以下の接触距離を確保できなくなるためです。ただし、近年では水滴を弾く超撥水性の微細構造を持たせることで、湿潤環境下でも機能する人工ヤモリテープの開発が進められています。
Q3:なぜ貴ガス(希ガス)のヘリウムやネオンも液体や固体になれるのですか?
A3:閉殻構造を持ち、化学的に極めて安定で他の原子と共有結合を作らない貴ガスであっても、絶対零度近くまで冷却・加圧すると凝縮するのは、ロンドン分散力(ファンデルワールス力)が働くからです。ヘリウム原子のわずか2個の電子であっても瞬間的なゆらぎによる分極が生じるため、熱運動が極限まで抑えられた超低温下では、このわずかな引力が分子運動に打ち勝ち、液体ヘリウムへと相転移します。
Q4:ファンデルワールス力は離れるとどうなりますか?どこまで届く力ですか?
A4:ファンデルワールス力(特に分散力)のポテンシャルエネルギーは、分子間距離の6乗に反比例($r^{-6}$)して急速にゼロへ近づきます。距離が2倍に離れると引力は64分の1($2^6$)に激減し、3倍になれば729分の1($3^6$)にまで落ち込みます。そのため、実質的に意味のある引力として働くのは原子・分子が数ナノメートル以内に極めて接近した局所的な領域に限られます。