斎藤一と魚沼宇水の激突が、連載から数十年を経た現在でも読者の心を掴んで離さないのは、これが「信念の純度を競い合う人間ドラマ」として完璧に描かれているからです。
明治という新時代において警官となりながらも、幕末と何一つ変わらぬ「悪・即・斬」の冷徹な正義を貫き通す斎藤一。その生き様には一片の迷いも自己欺瞞もありません。
対する宇水は、己の才能と技術に誇りを持ちながらも、「負けを認めたくない」というちっぽけな保身のために復讐という偽りの物語を演じ続けていました。どれほど超絶的な「心眼」を磨こうとも、自分の心の弱さから目を背けている限り、真の強者には決して届かない。斎藤の零式が宇水の身体だけでなく、その欺瞞に満ちた精神ごと真っ二つに両断した結末は、人生の残酷な真理を浮き彫りにしています。