メディア社会学およびテレビ文化論の視点から総括すると、『いだてん』という作品は「テレビが世帯視聴率という単一の指標で評価されていた時代の終焉」を告げた記念碑的作品であったと結論づけられます。
かつてのテレビドラマは、誰が見ても1話完結で理解できる平易な物語構造が推奨されていました。しかしインターネットと配信サービスの普及により、視聴者は「自分のペースで巻き戻し、一時停止し、伏線を検証しながら作品を味わう」という能動的な鑑賞体験を手に入れました。『いだてん』は、その制作手法と構造があまりにも進歩的であったがゆえに、当時の旧弊なテレビ評価システムからこぼれ落ちてしまったのです。現在本作を鑑賞するにあたり、編集部として明確な判断基準を提示します。
おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
- 強くおすすめできる人:
- 『あまちゃん』や『不適切にもほどがある!』など、宮藤官九郎特有の重層的な伏線回収と群像劇を愛する人
- 近代日本の歩み(明治・大正・昭和)を、教科書の偉人伝ではなく庶民やスポーツマンの生々しい視点から追体験したい人
- 配信サービスで週末に数話〜1クール分を一気見(ビンジウォッチング)する視聴スタイルが定着している人
- 慎重になるべき人:
- 大河ドラマには合戦シーンやチャンバラ、武将たちの権謀術数を最優先で求めたい人
- スマホをいじりながら、あるいは家事をしながらの「ながら見」で大雑把にストーリーを把握したい人(情報量の多さに疲弊するリスクあり)
現在、いだてん配信再放送情報を探している方にとって、地上波での定時再放送は権利関係や尺の都合からハードルが高いのが現状です。もっとも確実かつ快適に視聴する方法は、NHKオンデマンド、または同サービスと提携しているU-NEXTなどのプラットフォームを活用することです。全47話が見放題パック等で常時配信されており、第1話から最終話までを一貫した熱量で鑑賞することが可能です。