ダトニオプラスワンを語る上で避けて通れないのが、原種である「本ダトニオ(ダトニオイデス・プルケール / Datnioides pulcher)」との差異です。かつてタイのメコン川やチャオプラヤ川水系に生息していた本ダトニオは、開発や乱獲により絶滅寸前となり、現在では商業流通が事実上ストップしています。これに対し、インドネシアのスマトラ島やボルネオ島(カリマンタン島)に広く生息しているのがダトニオプラスワンです。
「プラスワン」という呼称の由来は、そのバンド(横縞)の本数にあります。本ダトニオの体側に入る太い黒バンドが基本的に3本であるのに対し、プラスワンは中央のバンドが枝分かれするかのように1本多く、合計4本入ることから「プラスワン(1本多い)」と名付けられました。
さらに細部を観察すると、尾筒(尾びれの付け根部分)のバンド形状にも決定的な識別点が存在します。本ダトニオの尾筒バンドが力強い2本の黒帯で構成されるのに対し、ダトニオプラスワンは黒帯が細く乱れたり、部分的に途切れたりする傾向が見られます。
スマトラタイガーとボルネオタイガーの地域差
プラスワンは採取地によって主に2つのタイプに大別されます。
- スマトラタイガー(スマトラ産):体高が出やすく、地色が明るい黄色から黄金色に発色しやすい。バンドの輪郭がシャープに際立つ個体が多く、マニア間で高い人気を誇ります。
- ボルネオタイガー(ボルネオ産):スマトラ産に比べて体型がややスレンダーで、体色がシルバーがかった渋いトーンになりやすい傾向があります。バンドが複雑に分岐する個体も散見されます。
愛好家が熱狂する「リアルバンド」の見分け方
プラスワンの中には、遺伝的な変異によって本ダトニオと見紛うようなバンドパターンを持つ個体が存在します。これが市場で高値取引される「リアルバンド」です。通常4本あるはずの体側バンドのうち、余分な細いバンドが消失し、本ダトニオとほぼ同等の太く明瞭な3本バンドを形成している個体を指します。左右両面で完璧なリアルバンドを維持している個体は極めて希少であり、鑑賞魚店やオークションでも別格の扱いを受けます。