ネット上の掲示板やSNSでは、医療再編のニュースが流れるたびに「高岡市民病院が来年にも完全閉鎖される」「医療崩壊で市内の医療が受けられなくなる」といった極端な憶測が拡散されがちです。しかし、報道関係者や行政関係者への取材から見える現実は、そうした扇情的な言説とは大きく異なります。
最大の誤解は、「統合=市民病院の完全な消滅」という思い込みです。現在、厚生労働省や富山県が進める「地域医療構想」が目指しているのは、病院の数を単に減らすことではなく、医療機能の分担と適正配置です。具体的には、高度急性期や重篤な救急医療を厚生連高岡病院や富山大学附属病院などの基幹施設に集約する一方、市民病院には「回復期リハビリテーション」「地域包括ケア」「緩和ケア」「在宅復帰支援」といった機能を重点配置するシナリオが有力視されています。
もし高岡市民病院を完全に廃止してしまえば、行き場を失った高齢療養患者が溢れ、かえって基幹病院の病床を逼迫させることになります。行政と医療従事者が目指しているのは、病院の「消滅」ではなく、人口減少時代に適応した「機能の転換」です。市民側も「すべての診療科が高度医療を揃えていなければならない」という昭和型の総合病院神話から脱却し、地域の医療機関がチームとして機能する新しい医療体制を理解する必要があります。