日本銀行券の肖像は、概ね20年周期で偽造防止技術の更新に合わせて刷新されます。2004(平成16)年に発行された旧五千円札の樋口一葉から津田梅子へと引き継がれた背景には、国家としての明確な選定方針が存在します。
財務省が公表した肖像選定基準において、中心的な柱とされたのは以下の3条件です。
- 偽造防止の観点から、精密な写真や肖像画が鮮明に残されていること
- 品格があり、国民各層から広く親しまれ、尊敬を集める人物であること
- 明治以降の近代日本において、明確な足跡を残した人物であること
樋口一葉が「近代女性文学の先駆者」として文化的な象徴であったのに対し、津田梅子は「実学・教育を通じて女性の社会的地位向上と自立を促した実業的先駆者」という側面を強く持っています。今回の改組における最大の特徴は、一万円札の渋沢栄一(近代日本経済の父)、千円札の北里柴三郎(近代日本医学の父)、そして五千円札の津田梅子(女子高等教育のパイオニア)という、「経済・科学医療・教育」の実学によって近代日本の基盤を築いた3巨頭で揃えられているという点にあります。