長らく仮面の下に隠されていたMr.コンプレスの本名は迫圧紘(さこ あつひろ)。仮面を自ら外した全面戦争終盤(原作第294話「ラストステージ」)で露わになった素顔は、切れ長の瞳と整った鼻筋、髭をたくわえた色気あふれるダンディな大人の美男子でした。普段のコミカルな道化師の仮面とのギャップはすさまじく、素顔開帳の瞬間は読者コミュニティを騒然とさせました。
さらに衝撃を与えたのが、彼が明かした血統の秘密です。彼はかつてオール・フォー・ワン(AFO)、デストロ(四ツ橋主税)と並び称された歴史的犯罪者「稀代の盗人・張間謳児(はりま おうじ)」の玄孫にあたります。張間謳児は偽りのヒーローや私腹を肥やす富裕層から富を奪い、貧民街にばら撒いた「義賊」として知られる人物。コンプレス自身もその血筋と信念を胸に秘め、世直しを掲げるエンターテイナーとして活動していました。
彼が死柄木弔率いる敵連合に身を投じた動機も、単なる破壊衝動ではありませんでした。腐敗した既得権益層を揺るがし、歪んだ超常社会をリセットするというアナーキズム的な世直し思想が、先祖の生き様と合致していたからに他なりません。声優・最上嗣生氏の艶のあるバリトンボイスと芝居がかった演技が、この道化師の持つ底知れない気品と業の深さを見事に表現しています。