お布施の封筒表面、下段中央に記す名前の書き方は、寺院との関係性や家の代表形態によっていくつかの選択肢が存在します。どの書き方を選ぶべきか迷った際は、寺院側の管理のしやすさを基準に判断します。
フルネームと苗字のみはどっちが適切か
表面中央の上段に「御布施」と縦書きし、下段中央に施主の名前を書きます。この際、「施主のフルネーム(例:佐藤 太郎)」を記載するのが最も推奨される書き方です。
「佐藤」のように苗字のみを記載する形式も見られますが、同じ地域や同じ菩提寺の檀家の中に同姓の家が存在する場合、寺院側で誰からの納骨・法要のお布施であるか判別がつかなくなるリスクがあります。トラブルを防ぐためにも、特別な事情がない限りフルネームで記名するのが賢明です。また、「〇〇家」と家名を記す形式も一般的ですが、この場合は裏面または中袋に施主個人のフルネームと住所を漏れなく記帳することが必須となります。
夫婦連名や兄弟連名の書き方
香典袋では夫婦や同僚の連名がよく見られますが、お布施において夫婦連名で記載するのは基本的に不要です。お布施は個人名義の寄付というよりも「家」を代表して菩提寺に納める性質が強いため、世帯主である夫、または施主本人の単名で記載するのが古くからの慣例です。夫婦で費用を折半して負担した場合であっても、表書きに妻の名前を並べる必要はありません。
一方、施主を務める兄弟姉妹で費用を出し合った場合など、明確な意図を持って連名にするケースでは以下のような作法を守ります。
- 2名〜3名で連名にする場合:表面下段の中央に年長者(代表者)の氏名をフルネームで書き、その左隣に並べる形で順次フルネームを記載します。
- 4名以上で費用を拠出する場合:表面には代表者1名の氏名を中央に書き、その左下に「他一同」または「兄弟一同」と添えます。出資者全員の氏名・住所・負担金額を半紙や別紙に記し、中袋の中に同封するのが正式な手順です。
宗派ごとの表書きの違い(浄土真宗のケース)
宗派によって表書きを変えるべきかという疑問も多く寄せられます。結論から言えば、浄土真宗、曹洞宗、臨済宗、真言宗、日蓮宗など、宗派を問わず「御布施」の表書きで共通して問題ありません。
特に浄土真宗においては、往生即成仏(亡くなった人は即座に極楽浄土に往生して仏になる)の教義があるため、香典では「御霊前」を使わず初七日前から「御仏前」を用いますが、お布施に関しては他宗派と同様に阿弥陀如来や寺院への感謝を示すものであるため、通夜・葬儀から四十九日法要、年忌法要に至るまで一貫して「御布施」と記します。なお、「読経料」「戒名料」といった名目を表書きに書くのは、読経をサービスの対価や商取引と見なす不適切な表現となるため、厳禁です。