結論から述べると、公式に「福岡本店」と銘打たれた店舗は存在しません。大原松露饅頭の母体である株式会社大原老舗の登記上の本拠および創業の地は、佐賀県唐津市本町に店を構える大原松露饅頭唐津総本店です。歴史を紐解くと、江戸時代後期の天保年間(1850年頃)、唐津藩の御用菓子司として歩み始めたのが大原老舗歴史の端緒であり、唐津市内の名勝「虹の松原」に自生する希少な球状の食用キノコ「松露(しょうろ)」に形状が似ていたことから、この風雅な菓銘が名付けられました。
では、なぜ「福岡本店」という言葉がこれほどまでに定着し、検索され続けているのでしょうか。その背景には、福岡・博多という都市が持つ強力な経済ハブ機能と、長年にわたる販売戦略があります。大原老舗は古くから福岡市場への進出を積極展開し、九州最大のターミナルである博多駅や福岡空港、さらには老舗百貨店のデパ地下へ旗艦売場を開設してきました。
その結果、県外の訪問客を中心に「博多に行けば必ず買える代表的な福岡銘菓お土産」として自然に刷り込まれ、博多駅構内などの大型店舗が事実上の「本店」として認識される逆転現象が生まれたのです。実務上、福岡市博多区綱場町などには営業拠点が置かれていますが、これは直営店舗ではなく事務所機能であり、一般の観光客が立ち寄る売場ではない点に注意が必要です。