本作の最大の魅力は、血のつながらない擬似家族的な同居生活から芽生える恋情と、大人の包容力を持つ男性への憧れという、対照的な二つの恋愛ベクトルの間で揺れるヒロインの心の機微です。
主人公の高野つばさ(中山美穂)は、アパレル会社で働く明るく前向きな女性。ひょんなことから、お調子者だが心優しい美容師の卵・佐藤学(的場浩司)とルームシェアをすることになります。二人は喧嘩を繰り返しながらも、互いにとって唯一無二の相棒のような関係を築いていきます。
一方で、つばさは仕事を通じて出会った大人の魅力あふれるデザイナー・結城浩一(根津甚八)に強く惹かれていきます。落ち着きと深い理解力でつばさを包み込む結城と、いつも隣で素直な感情をぶつけ合える学。三角関係は話数を重ねるごとに熱を帯びていきました。
最終回(第10話)では、結城からの真剣なプロポーズと、学がつばさに対して長年隠してきた本気の告白が交錯します。多くの視聴者が「どちらの男性と結ばれるのか」を固唾を呑んで見守る中、三谷脚本が導き出した結末は極めて自立的なものでした。
つばさは、誰かの庇護のもとで生きるのではなく、一人のデザイナーとして成長するために単身パリへ留学する道を選択します。結城には感謝とともに別れを告げ、学とは将来の再会を笑顔で約束しながら旅立ちの途につきます。恋愛の成就だけをゴールとせず、「自分自身の足で歩む人生の肯定」を描いたラストシーンは、当時の働く女性たちに強い勇気と爽快感を与えました。