鉄板焼きにおいてしばしば見受けられるのが、「もんじゃ焼きは誰が焼いても同じ味になる」という誤解です。実際には火加減と焼きのプロセスによって、食感や出汁の凝縮感が劇的に変化します。下町もんじゃの焼き方のコツを正しく把握しておくことで、そのポテンシャルを100%引き出すことが可能です。
基本手順は至ってシンプルですが、細部にプロの技術が宿ります。まずは具材だけを鉄板に取り出し、ヘラで細かく刻みながら炒めます。具材でしっかりと円形の「土手」を築いた後、中央の窪みに出汁を2〜3回に分けて注ぎ入れます。出汁が煮立ち、とろみがついてきた段階で全体を一気に混ぜ合わせ、薄く広げて底面に香ばしい「おこげ」を形成させるのが最大のポイントです。店名にもなっているこの「おこげ」を専用のハガシ(小さなヘラ)でこそげ取るように食べることで、パリッとした芳ばしさとトロトロの食感の対比を極限まで堪能できます。