『火の鳥』がこれほど多くの日本人にトラウマを植え付けた最大の要因は、その「配置場所」にある。なぜかこの作品は、小学校の図書室や学級文庫に高確率で置かれていた。
「手塚治虫=漫画の神様=教育に良い」という、大人たちの盲目的な信頼が生んだ結果だ。しかし、そのページを開いた子供たちが目にしたのは、美化された歴史物語ではない。生きたまま火に身を投じる人々、クローン技術による倫理の崩壊、そして人間のエゴがもたらす破滅のパレードだった。教育的な仮面をかぶった過激な哲学書。それこそが、無防備な子供たちを襲った罠の正体だったのだ。