超高齢化社会を突き進む現代日本において、内館牧子の小説が果たす役割は極めて大きい。長寿が必ずしも幸福とは限らない現実、介護や遺産をめぐる親族の思惑、急激に衰える肉体への恐怖。正面から扱えば暗くなりがちな重い題材を、彼女は極上のユーモア小説に仕立て上げてしまう。
笑いながら読んでいるうちに、ふと自分自身の将来や家族の姿を重ね合わせてハッとさせられる。これは単なる暇つぶしの読書ではない。現代日本文学の最前線で、誰もが避けて通れない老いと死のテーマを、最も親しみやすい形で差し出す文学的アプローチなのだ。読者は毒のある笑いを通じて、自らの人生に向き合う覚悟を与えられる。