白いシャツについた日焼け止め汚れを落とそうとして、台所や洗濯用の塩素系漂白剤(主成分:次亜塩素酸ナトリウム)につけ込んだ瞬間、布地がまるで赤インクをこぼしたかのようなショッキングピンクに変色して青ざめたという相談が、全国のクリーニング店や消費生活センターに毎年数多く寄せられています。
この現象の引き金となるのが、一般的なUVケア製品に広く配合されている「ジベンゾイルメタン系」をはじめとする油溶性の紫外線吸収剤です。大手トイレタリーメーカーの研究所資料や繊維科学の知見によると、この紫外線吸収剤が繊維に残った状態で塩素系漂白剤と接触すると、塩素と吸収剤分子が特異的な錯体(キレート化合物)を形成します。この化学反応によって生成される物質が赤色からピンク色を呈するため、真っ白だった布地が一瞬で鮮烈な赤系に変色してしまうのです。
これがまさに塩素系漂白剤使えない理由の真相であり、製品パッケージの注意書きに「塩素系漂白剤のご使用はお避けください」と明記されている根拠でもあります。しかし、変色してしまったからといって諦めて服を捨てる必要はありません。
万が一ピンクに染まってしまった場合の日焼け止め漂白剤ピンク変色の戻し方は、まず衣類を水で徹底的にすすぎ、残留している塩素を完全に洗い流すことから始まります。その後、変色部分に市販の濃縮液体洗濯洗剤の原液を直接たっぷりと塗り込み、生地を傷めないよう優しく揉み込んでから、少し高めの温度(40℃前後のぬるま湯)ですすぎ洗いを行ってください。界面活性剤の強力な洗浄力によって紫外線吸収剤そのものを繊維から引き離すことで、錯体の結合が解かれ、元の真っ白な状態へと復元できます。一度で戻らない場合でも、原液の塗布とぬるま湯での押し洗いを2〜3回繰り返すことで徐々に色が抜けていきます。