インターネットの質問サイトやSNS上では、「一度社会に出たが動物の命を救う夢を諦めきれない」「文系大学を卒業したが獣医学部を目指したい」という切実な声が絶えません。しかし、このルートには美談だけでは片付けられない過酷なスクリーニングが存在します。
まず検討されるのが獣医学部 学士編入ですが、医学部と異なり、獣医学部で定期的に学士編入を実施している大学はごくわずかです。募集枠も「若干名(1〜2名程度)」にとどまる大学がほとんどで、生物学、生命科学、英語、小論文、面接など高度な専門試験が課されます。倍率は数十倍に跳ね上がり、理系・農学部・バイオ系出身者が圧倒的優位に立つため、純粋な文系出身者が学士編入を突破するのは極めて例外的な事例に限られます。
したがって、文系出身者や社会人が現実的に目指す場合は獣医師 社会人 再受験として、一般選抜入試を一から受け直すルートが主流となります。ここで最大のハードルとなるのが、数学(数I・A・II・B・C、国公立ではIIIまで必要な場合も)および理科2科目(化学・生物・物理)のキャッチアップです。高校時代に理系科目を完全に履修していない文系出身者の場合、基礎から難関大理系レベルまで引き上げるために最低でも2〜3年間の専念期間を要するケースが少なくありません。
大手予備校の関係者は「30代での合格実績は実在するが、共通テスト80%以上の総合得点と、私立の理科専門試験に耐えうる記述力を確保できるかが境界線になる。仕事を辞めて退路を断つ前に、まずは模試で現在地を測り、6年間の生活費と学費の工面計画を完全にシミュレーションしなければ自己破産のリスクを背負う」と警鐘を鳴らします。情熱だけでは突破できない、冷徹な計算と学力形成が求められます。