なぜ『ポケモンGO』の対抗馬として期待された大型タイトルが、4年半という期間で幕を閉じることになったのでしょうか。報道各社の取材データやゲーム業界のアナリスト分析、両社の決算推移を紐解くと、単なる「人気低迷」という言葉では片付けられない4つの構造的なサービス終了の理由が浮かび上がってきます。
第一の要因は、ユーザー数と売上の推移に対するインフラ維持コストの不均衡です。本作はGoogle Mapsの3D地図データを全面的に採用していましたが、ちょうどリリース時期と重なる2018年7月にGoogle Maps APIの料金体系が大幅に値上げされ、位置情報ゲーム開発会社にとって大きなコスト増となりました。のちに『ポケモンGO』や『ドラゴンクエストウォーク』がOpenStreetMapや独自マップ基盤へと移行・最適化する中、Google Mapsの高機能なシステムに依存していた本作は、売上が落ち着いた後半期においてランニングコストが収益を強く圧迫する構造となっていました。
第二の要因は、2020年から2022年にかけて直撃した新型コロナウイルスの感染拡大です。本作には「自分が歩かなくても他のプレイヤーに妖怪をヒョーイさせて全国を移動できる」という優れたシステムがありましたが、そもそもヒョーイ先のプレイヤーが出張や旅行、帰省で長距離移動をしなければ、妖怪は遠くへ運ばれません。全国的な外出自粛と移動制限によって日本全体の人の流れがストップしたことで、ゲームの根幹である「見知らぬ誰かとのすれ違いと長距離移動」というサイクルが機能不全に陥ったのです。
第三の要因は、『妖怪ウォッチ』というIPのターゲット層と位置情報ゲームのミスマッチです。2014年〜2015年の社会現象的なブームが沈静化しつつあった2018年当時、本来のメインターゲットである小学生層は自分専用のスマートフォンやモバイルデータ通信環境を持っておらず、自由に街を歩き回って課金することができませんでした。結果として、同じレベルファイブ作品でありながら自宅で手軽に遊べるパズルゲーム『妖怪ウォッチ ぷにぷに』(NHN PlayArt共同開発)に若年層やライト層が集中し、2026年現在も『ぷにぷに』が人気アニメとのコラボを重ねて高収益を維持しているのとは対照的な結果となりました。