現代のエンターテインメント業界やジャーナリズムで注目を集めるトゥルー・クライム(犯罪ドキュメンタリー)の文脈において、地下鉄サリン事件は無差別テロとしての側面ばかりが強調されがちだった。しかし、事件の背景にあるカルト宗教問題の神髄は、思想的狂気と冷徹な財務活動の結合にある。
化学兵器のプラント建設、大量の薬物密造、そして武器の調達。これら巨額の資金を要するテロ準備行為がなぜ長期間発覚しなかったのか。それは、資金調達と隠蔽を担った「女帝」の存在が、従来の犯罪捜査のブラインドスポットとなっていたからに他ならない。事件の盲点を浮き彫りにすることは、現代社会に蔓延する新たなカルト的集団の危険性を予見する上でも不可欠な検証と言える。