芸能界という過酷な競争社会において、なぜ少なからぬ著名人が特定の信仰を自ら公表し、組織の要職を引き受けてきたのでしょうか。その背景には、1962年3月に設立された創価学会芸術部の歴史的役割が深く関係しています。
芸映・音楽・演劇・舞踊などの分野で活動する実演家たちで構成される芸術部は、池田大作名誉会長(2023年11月逝去)の主導によって組織されました。浮き沈みが極めて激しく、今日脚光を浴びても翌日には職を失うリスクに晒される芸能人にとって、精神的な拠り所を求める心理は古今東西を問わず強く存在します。芸術部は単なる信仰組織にとどまらず、下積み時代の苦悩を共有し、実演家同士が相互に励まし合う強固なセーフティネットとして機能してきました。
実際に、過去に自著や機関紙のインタビューで入会動機を語ったタレントたちの証言には、共通するパターンが見出せます。久本雅美氏は劇団東京ヴォードヴィルショー時代、極度の貧困と将来への不安に苛まれていた時期に折伏(入会勧誘)を受け、題目を唱えることで心の平穏を取り戻したと述懐しています。また、1970年代に爆発的ブームを巻き起こした後に低迷期を経験した山本リンダ氏も、信仰実践を通じて再ブレイクを果たした体験を「信心の実証」として公の場で熱狂的に語ってきました。
創価学会において、社会的な成功を収めることは「現証(信仰が本物であることの客観的証拠)」と位置づけられます。そのため、創価学会幹部タレントとして活動することは、教団側にとっては最高の布教手段となり、タレント側にとっても「自らの成功を信仰の功徳として他者に還元する」という崇高な使命感に昇華されていく力学が存在したのです。