ボーカロイドとは?初音ミクとの決定的な違いとAi新時代の現在地

ボーカロイドとは?初音ミクとの決定的な違いとAi新時代の現在地

ボーカロイドとは?初音ミクとの決定的な違いとAi新時代の現在地についての疑問解決ガイドをお届けします。

2007年の初音ミク登場以降、音楽シーンにおいて「ボカロP(ボーカロイドプロデューサー)」と呼ばれるアマチュア作曲家たちが爆発的に増加しました。『メルト』を手がけたsupercellのryo、『マトリョシカ』『砂の惑星』を生んだハチ(米津玄師)、『ワールズエンド・ダンスホール』のwowakaなど、才能あるクリエイターたちがニコニコ動画上でミリオン再生を連発し、一大ユースカルチャーを形成しました。

ボカロPの楽曲が圧倒的な支持を獲得した背景には、「参加型文化(Participatory Culture)」と「N次創作の無限連鎖」というインターネット独自のメディア生態系が存在します。プロの作詞作曲家が一方的に供給する従来の音楽モデルとは異なり、ボカロPが投稿した楽曲に対し、別のユーザーが「歌ってみた」動画を投稿し、絵師が「描いてみた」イラストを添え、ダンサーが「踊ってみた」動画を拡散する。この集合知的な共創ループが、楽曲のバズを幾重にも増幅させる熱狂を生み出しました。

しかし、2014年から2017年頃にかけて、ネットコミュニティでは深刻な「ボカロ衰退論」が囁かれるようになります。事実、当時の現場では以下のような構造変化が起きていました。

  • 有力ボカロPのメジャー流出と引退:米津玄師をはじめとするトップ層がJ-POPの第一線へ進出し、ボカロ楽曲の供給ペースが鈍化。
  • ニコニコ動画の地盤沈下:動画視聴プラットフォームの覇権がYouTubeやストリーミングサービスへ移行し、発火点としての求心力が一時的に低下。
  • 楽曲の高度化・複雑化に伴う新規参入障壁:BPM200を超える高速転調や極端な超高音を詰め込んだ難解な楽曲が増加し、ライト層が置き去りにされた。

この停滞期を打ち破り、文化を完全な再燃へと導いた決定打が、2020年にサービスを開始したiOS/Android用リズムゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(プロセカ)』です。

株式会社セガと株式会社Colorful Paletteが共同開発した『プロセカ』は、ボカロキャラクターとオリジナルの人間の少年少女キャラクターたちが織りなす青春群像劇を軸に据え、往年の名曲から気鋭の最新曲までを高品質なリズムゲームとして提供しました。公式発表や各種アプリ市場データによると、本作のアクティブユーザーの過半数は10代から20代前半のZ世代が占めています。

『プロセカ』の爆発的ヒットによって、過去の名曲を知らないデジタルネイティブ層が初音ミクやボカロ文化と自然に出会い直す導線が確立されました。さらに、TikTokやYouTube Shortsといった縦型ショート動画の隆盛と相乗効果を生み出し、Chinozoの『グッバイ宣言』やKanariaの『KING』、ピノキオピーの『神っぽいな』といった楽曲が数十億回再生規模のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出しました。2020年代半ばを越えた現在、ボカロはサブカルチャーの枠を完全に脱却し、日本のポップミュージックのメインストリームを支える恒久的なインフラとして定着しています。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。