物語が魔界編へと移行した際、霊界特別防衛隊の口から「戸愚呂弟はB級上位の妖怪に過ぎない」という事実が明かされ、当時の読者に大きな衝撃を与えました。あれほど圧倒的で神懸かり的な恐怖を見せつけた巨魁が、魔界の生態系では中堅クラスに位置付けられていたという設定は、現在もネットコミュニティやSNSで「インフレの弊害」「設定の無理矢理感」として議論の的になります。
しかし、原作テキストと世界観設定を綿密に分析すると、この格付けには整合性のある論理的な理由が存在します。決して戸愚呂弟の存在感が損なわれるものではありません。
霊界が敷設していた「結界境界網」は、A級以上の妖怪が人間界へ流入することを物理的に阻んでいました。つまり、戸愚呂弟は「人間界に降り立つことが許された中で、理論上最強の限界値」に君臨していたのです。さらに、霊界の危険度ランクは個人のタイマン性能だけでなく、「国家や都市規模のインフラをどれだけ短時間で壊滅させられるか」という災害規模に重きが置かれています。純粋な体術と質量攻撃に徹した戸愚呂弟がB級上位に分類されたのは、世界観の力学として極めて整合的であり、彼の恐ろしさを些かも貶めるものではありません。