ギブソンのアコースティックラインナップを検討する際、必ず比較対象となるのが1962年に誕生した兄弟機「ダブ(Dove)」、そして直系ブランドが展開する「エピフォン ハミングバード」です。
ハミングバードとダブの違い
外見上はハチドリと鳩のインレイ・ピックガードという意匠の違いに見えますが、楽器の本質である音響設計は根本から異なります。
- 木材構成:ハミングバードがサイド&バックに甘いトーンを持つ「マホガニー」を採用しているのに対し、ダブは硬質でレスポンスに優れた「メイプル」を使用しています。
- スケール長:ハミングバードが24 3/4インチのショートスケールであるのに対し、ダブは25 1/2インチ(約648mm)のロングスケールを採用しています。
この違いにより、ダブは弦のテンションが強く、立ち上がりが鋭利でパーカッシブな輪郭を持ちます。バンドサウンドの中で埋もれないエッジの効いたストロークを求めるならダブ、歌を温かく包み込み、耳当たりの良いコード感を求めるならハミングバードという棲み分けが明確に成り立っています。
エピフォン版の進化と選択の妥当性
かつては「ギブソンを買えない層の妥協策」と見なされることもあったエピフォンですが、近年の「Inspired by Gibson」シリーズ以降、評価は激変しました。オール単板ボディ、薄膜塗装、伝統のカラマズー・ヘッドストックの採用など、設計思想を高い純度で受け継いでいます。木材のグレードやラッカー塗装の経年変化という点では本家ギブソンに及ばないものの、「ライブ配信や宅録、カフェライブなどで気兼ねなくガンガン使いたい」というプレイヤーにとって、10万円台前半で手に入るエピフォンは極めて実利的な選択肢となっています。