ネット上のレビューやSNSの言説において、しばしば見受けられる誤解があります。それは本作を「近年の昭和レトロブームや純喫茶カルチャーと同列の、お洒落なヴィンテージ・ポップス」と矮小化して捉えてしまう傾向です。
確かにビジュアルやホーンのアレンジにはレトロな意匠が見られます。しかし、エゴラッピンの本質は生ぬるい「癒やし」や「レトロな可愛らしさ」とは対極に位置する、極めて攻撃的で骨太なバンドサウンドです。レコーディング現場では、一発録りに近いセッションから生まれる偶発的なノイズや、プレイヤー同士の火花散るせめぎ合いが徹底して肯定されていました。
単なる装飾としてのレトロ趣味ではなく、ルーツ・ミュージックが本来持っていた反逆性や生のエネルギーを現在に甦らせた試みであったこと。この本質を見誤ると、本作が持つ本当の凄みやスリルを聴き逃すことになります。流行のレトロ風音楽とは根本的に異なり、根底に流れるのはブルースの悲哀とロックの反骨心なのです。