だが、病室のベッドの上で味わった絶望が、彼の眠っていた新たな才能を呼び覚ますことになります。足が動かずネタもできない焦燥感の中、妻から手渡されたスケッチブックと1本のペンが、芸術家・住谷正樹の原点となりました。
もともと学生時代から美術への関心が高かったHGは、気の遠くなるような時間をミリ単位の緻密な線画(ペン画)に注ぎ込みました。退院後、MBS・TBS系バラエティ番組『プレバト!!』の水彩画部門に出演すると、専門家を唸らせる圧倒的な構図センスと細密描写を披露。特待生から名人へと駆け上がり、番組内でも屈指の実力者として認知されるに至ります。
近年では国内の主要ギャラリーで個展を開催するだけでなく、現代アート作品として1点数十万円から数百万円で取引される事例も生まれており、アート界の有力コレクターからも高評価を獲得。肉体を失いかけた男が「指先と集中力」で表現の地平を切り拓いたドラマは、多くの表現者に勇気を与えています。