音楽業界関係者やファンの間で長年語り継がれてきた「B'z紅白不出場」の背景には、複数の構造的な要因が存在します。一部の週刊誌等で囁かれた「演出方針の不一致」や「NHKとの確執」といったネガティブな噂は事実無根であり、実際にはアーティストとしての徹底した自己管理と、活動ポリシーにおける心理的バウンダリー(明確な境界線)の確立に起因しています。
第一の理由は、年末年始におけるコンディション調整と制作サイクルの徹底です。B'zの全国ツアー(LIVE-GYM)はスタジアムやドームを舞台に年間数十公演に及び、ボーカルの稲葉浩志は喉の完全なリカバリーのために、オフシーズンに入ると徹底した加湿と発声制限を行います。年末の極寒期に生放送の音楽番組へ出演することは、完璧なパフォーマンスを絶対条件とする彼らにとってリスクが高く、この時期を「翌年の楽曲制作・完全休養」に充てるスケジュール管理が30年以上徹底されてきました。
第二に、かつて日本レコード大賞などの賞レースを辞退した歴史に見られるように、音楽を「紅白」という枠組みで競い合わせる構造への違和感です。松本孝弘は過去の音楽メディア取材において、「自分たちの音楽はライブ会場で直接ファンに届けるもの」という主旨の姿勢を一貫して示しており、短時間のメドレー歌唱やテレビ仕様の音響ではなく、自前で構築した最高峰のライブ音響空間で観客と対峙することを最優先してきました。