不朽の名作『秘密戦隊ゴレンジャー』のオープニングを飾る「進め!ゴレンジャー」のレコーディングスタジオには、異様な緊張感と実験精神が満ちていた。マイクの前に立ったのは、当時アニメ・特撮ソング界の若き巨星として頭角を現していたささきいさお。「バンバラバンバンバン」という一度聴いたら耳から離れないスキャットは、当初の台本や楽譜の段階では関係者の間でも賛否が分かれたという。しかし、ひとたびささきが骨太で深みのあるバリトンボイスを響かせると、現場の空気は一変した。言葉の意味を超えたプリミティブな躍動感がスタジオを支配したのだ。
劇中を彩るインストゥルメンタル(劇伴)の完成度も凄まじい。戦闘シーンの緊迫感を煽るブラスセクション、心理描写に寄り添うフルートの哀愁、サスペンスを盛り上げるストリングスの不協和音。単なるBGMの枠を超え、フィルムのコマと完全にシンクロする劇伴群は、映像のダイナミズムを何倍にも増幅させた。録音技術が今ほど便利ではなかった時代、スタジオに集まったトップミュージシャンたちによる一発録りの熱気が、今もスピーカー越しにビリビリと伝わってくる。