1970年代、日本映画界に鮮烈なインパクトを与えてデビューした五十嵐淳子。彼女の放つ透明感とどこか翳りのある美しさは、当時の映画ファンや評論家を即座に虜にした。大手映画会社の東宝が手掛ける文芸作や青春映画で頭角を現し、単なるアイドル女優の枠を超えた演技派としての評価を確立していく。
映画界にとどまらず、テレビドラマの黄金期を牽引した日本テレビの数々の名作ドラマにも主要キャストとして抜擢された。感情の機微を繊細な視線の揺らぎで表現する彼女の芝居は、昭和ドラマの質感を決定づける重要なピースの一つであった。画面に登場するだけで空気を変えてしまう天性のスクリーンプレゼンスは、今見返しても色褪せることはない。