1993年、美智子さまが誕生日に倒れ、言葉を失われた「失声症」の出来事は、日本中に巨大な衝撃を与えた。その直接的な引き金となったのが、月刊誌『文藝春秋』をはじめとするマスメディア・出版業界による一連の報道バッシングである。連日のように浴びせられる事実無根の批判。ペンという刃が、一人の女性の身体的機能を奪うまでに追い詰めた瞬間だった。
当時の出版界は、皇室のスクープや批判記事が空前の部数を叩き出す時代に沸いていた。売上至上主義に走った一部の編集部は、噂話や匿名関係者の証言を検証することなく掲載。「国民に開かれた皇室」を目指すあまり、過度な露出を引き受けてくださったお優しさが、皮肉にも商業主義の標的にされてしまった。声が出なくなってもなお、国民へ向けられた静かな微笑みの裏には、どれほどの孤独と苦痛があったのだろうか。