『女芸人No.1決定戦 THE W』は、女性芸人の地位向上と新たなスターの発掘を目的にスタートしました。これまでに誕生した歴代チャンピオンの顔ぶれを振り返ると、その後の芸能生活の軌跡は極めて対照的です。
初代覇者のゆりやんレトリィバァ(2017年)は、圧倒的な世界観と英語力を武器に米国進出を果たし、Netflixドラマ『極悪女王』での肉体改造と主演怪演など、コメディアンの枠を超えた世界的クリエイターへと飛躍しました。第2回優勝の阿佐ヶ谷姉妹(2018年)は、卓越した歌唱力と日常を慈しむ温かな人柄がお茶の間に浸透し、ドラマ化やエッセイ執筆など独自のポジションを確立。第3回を制した3時のヒロイン(2019年)は、トリオの巧みなトーク力とYouTube発信を連動させ、民放キー局のバラエティ番組で欠かせない存在へと駆け上がりました。
一方で、ピン芸人として第4回を制した吉住(2020年)は、憑依型の鋭利なコント職人として脚本執筆や演技分野で玄人筋から絶大な評価を集め、第5回覇者のオダウエダ(2021年)は不条理劇のようなシュールコントで熱狂的な支持層を獲得。第6回の天才ピアニスト(2022年)は関西の賞レースを総なめにしながら舞台中心の職人芸を磨き上げ、第7回の紅しょうが(2023年)は東京進出後にラジオや赤裸々な恋愛トークで同世代女性のカリスマ的支持を盤石にしました。さらに実力派コンビのニッチェが円熟の演技力で栄冠を掴み、冠特番などで健在ぶりを示すなど、大会の歴史は多彩な個性の集積そのものです。
歴代ファイナリストに目を向けても、エルフ、スパイク、ヨネダ2000、Aマッソなど、優勝を逃しながらもバラエティやネット番組で凄まじい活躍を見せる組が多数存在します。ここで浮き彫りになるのが、世間が囁く「ブレイク格差」の正体です。優勝直後に用意される「日テレ人気番組への出演ラッシュ(いわゆる日テレジャック枠)」で爪痕を残せるかどうかは、ネタの完成度とは全く異なる「ひな壇での即興トーク力」や「イジられへの瞬発力」に依存しています。コントの作品性が高ければ高いほど、バラエティの定型フォーマットに馴染むまでに時間を要するという皮肉な構造が、知名度の二極化を生み出す根本要因となっています。