「みたま祭りといえば、参道沿いに数百軒もひしめき合っていた屋台群」という強烈な印象を持つ方は少なくありません。しかし、現在の出店風景は過去のそれとは大きく様変わりしています。ネット上では「屋台が全滅した」「いや、完全復活した」という両極端な情報が交錯していますが、現場の取材で見えてきたのは管理体制を抜本的に再構築したスマートな飲食形態への進化です。
そもそも、2015年にみたま祭り屋台禁止の理由となったのは、一部の来場者による治安の著しい悪化でした。当時、都内随一のナンパスポットや若者の無法地帯と化し、泥酔者の喧嘩、参道での座り込み、未成年飲酒、山積するゴミ問題が連日警察沙汰に発展しました。「英霊を鎮魂するための静謐な境内が汚されている」という遺族会や近隣住民からの痛烈な批判を受け、靖国神社側は苦渋の決断として2015年夏、露店の出店を全面見合わせる措置に踏み切ったのです。
その後、静けさを取り戻した境内では「本来の厳かさが戻った」と評価される一方、「祭りの賑わいが消えて寂しい」という声も根強く存在しました。そこで模索されたのが、みたま祭り屋台復活の真相ともいえる新たな運営モデルです。
みたま祭り屋台出店情報の現在形として、昔ながらのテキ屋による無許可・無秩序な密集露店は一切姿を消しました。代わりに導入されたのが、事前登録された厳選キッチンカーや指定物販ブースの誘致です。出店エリアは外苑の参道脇や中央広場の一部に限定され、通路幅を十分に確保した上で配置されています。さらにアルコール類の無制限な提供や泥酔・座り込みは警備員によって厳格に取り締まれており、かつての喧騒を知る人が訪れると「驚くほど清潔で歩きやすい空間」に生まれ変わっています。