アナウンサーが蝶ネクタイを着用する理由は、個人の趣味嗜好だけにとどまりません。テレビ制作の現場における緻密な計算と、試行錯誤の歴史が隠されています。
象徴的なのが、軽部真一アナウンサーが『めざましテレビ』で蝶ネクタイを着け始めた経緯です。当時の番組立ち上げ時、ニュースを硬く伝えるだけでなく、「朝から明るく、エンタメのワクワク感を届けられるキャラクター」が求められていました。当時の番組プロデューサーや演出陣との打ち合わせの中で、「何か視覚的なインパクトと、一目で覚えてもらえるフックが必要だ」という議論が巻き起こり、白羽の矢が立ったのが蝶ネクタイでした。
報道関係者の証言や過去のインタビュー記録によると、開始当初は軽部アナ本人も「最初は気恥ずかしさがあり、街を歩くのも少し照れがあった」と述懐しています。しかし、放送を重ねるにつれて視聴者から「あの蝶ネクタイの人、親しみやすい」「朝から楽しい気分になる」といった好意的な反響がハガキやファクスで殺到。結果として、蝶ネクタイは外せないトレードマークへと固定化されていきました。
また、アナウンサーの衣装とスタイリストの役割も見逃せません。テレビ番組の衣装は通常、スタイリストがアパレルブランドからリースしてコーディネートを組みます。しかし、軽部アナの所持する1,000本以上のコレクションや森朗氏の衣装の一部は、自腹で購入した私物が混ざっています。海外出張や旅行先で見つけたユニークな柄、ファンから贈られた特注品など、本人の思い入れが詰まったアイテムが画面を彩っているのです。