全国の生活道路や見通しの悪い交差点に設置されてきた、頭上に1つの灯器だけが吊り下げられた「一灯点滅式信号機」。実はこの点滅信号機が、近年全国各地で急速に撤去・廃止されている事実をご存じでしょうか。
警察庁および各都道府県警が公表している信号機更新計画によると、点滅式信号機の撤去ペースは年々加速しています。かつて事故防止の切り札として昭和から平成にかけて増設された点滅信号ですが、皮肉にも「点滅信号があることで、かえって事故が誘発されている」という冷酷な検証結果が相次いで報告されたためです。
警察庁が実施した追跡調査データでは、一灯点滅式信号機を撤去し、主道路側を規制なし(または優先明示)、従道路側を「止まれ」の道路標識と明瞭な道路標示(路面ペイント)へ切り替えた交差点において、人身事故の発生件数が約30〜50%減少したという明確なエビデンスが示されています。
撤去が進む主な背景には、以下の決定的な要因があります。
- 信号の意味を正しく理解していないドライバーの存在:赤点滅と黄色点滅の区別がつかず、赤点滅側が一時停止せずに進入する事例が後を絶たなかったこと。
- 老朽化とLED更新に伴うコスト判断:信号機の耐用年数経過に伴い、更新費用を投じて点滅信号を維持するよりも、標識化や標示補修に予算を集中させた方が事故抑止効果が高いという政策的判断。
- ラウンドアバウト(環状交差点)への改修:郊外や住宅街の交差点では、信号機そのものをなくして速度抑制を強制するラウンドアバウトへの構造転換が進展していること。
点滅信号機は近い将来、日本の道路風景から姿を消していく過渡期にあります。しかし、完全撤去に至るまでの間、現存する点滅交差点では依然としてドライバー自身の高い危機意識が求められます。