アーティストの熱気や息遣いをダイレクトに浴びたい観客にとって、1階席前方はまさに至高のポジションです。1列目から8列目あたりまでは演者の表情の微細な変化、流れる汗、衣装の質感までもが肉眼で完全に把握できる驚異的な距離感を誇ります。音響的にもステージ上の生音が直接鼓膜を揺らすため、ライブ特有の爆発的なグルーヴを体感できます。
一方、1階席の中盤から後方にかけては特有の注意点が存在します。1階席の床面は1列目から14列目付近までは傾斜が非常に緩やかでフラットに近い構造となっており、15列目以降から明確なスロープと段差が設けられています。そのため、10列目から14列目の中途半端なフラットエリアでは、前列に座高の高い観客が座った場合にステージ中央が見えづらくなる「視界の被り」が発生するリスクが否定できません。
さらに注目すべきは1階後方の見え方です。20列目を超えるとステージ上の人物は指先ほどのサイズ感となり、肉眼で表情を読み取ることは困難になります。加えて、22列目付近から頭上を2階席のバルコニーが覆いかぶさるような構造(オーバーハング)になるため、上方の開放感が損なわれ、特有の圧迫感を覚える観客も少なくありません。音響的には天井の反響板が緻密に計算されているため音がこもる心配はありませんが、推しの視線を追いたいファンにとっては、1階後方は双眼鏡の常備がマストとなる境界線です。