一般人として静かな生活を送る娘に対し、長男の渡瀬暁彦氏はテレビドラマの制作現場という形で父と同じ映像の世界に身を置いています。ただし、俳優としてではなく、裏方であるディレクター・演出家・プロデューサーとしての道を自ら切り拓きました。
渡瀬暁彦氏はTBSテレビに入社後、ドラマ制作の現場で数々のヒット作に携わってきました。主な参加作品には以下のような錚々たるタイトルが並びます。
- 『下町ロケット』シリーズ(演出補・演出)
- 『小さな巨人』(演出)
- 『天国と地獄〜サイコな2人〜』(演出補・プロデュース)
- 『ブラックペアン』シリーズ(制作スタッフ)
TBSの看板枠である「日曜劇場」をはじめとする重厚な人間ドラマにおいて、骨太な演出力を発揮しています。現場スタッフの証言によると、暁彦氏は入社当初から「渡瀬恒彦の息子」という看板を自ら口にすることは決してなく、下積みの助監督時代から泥臭く現場の雑務をこなして信頼を勝ち取ってきたといいます。
渡瀬恒彦さんもまた、息子の仕事を陰ながら見守りつつ、仕事上のコネクションや便宜を図ることは一切しませんでした。一度だけ、渡瀬恒彦さんがTBSのドラマに出演した際、現場に助監督として入っていた暁彦氏に対して「現場では一人のスタッフと役者」として厳格に接したというエピソードは、映像業界内で今も語り継がれる美談です。