レジ横おでんの衰退とパックおでんの台頭に対し、生活者と現場の店員はどのように受け止めているのでしょうか。ネットコミュニティやSNS、さらにコンビニオーナーへの取材で見えてきたのは、ノスタルジーと合理性の激しいせめぎ合いです。
長年コンビニ経営を続けてきた首都圏のフランチャイズ加盟店オーナーは、当時の内情を次のように吐露します。
「本部の推進方針に従って8月中旬から鍋を立ち上げていましたが、正直なところ地獄でした。外気温は35度を超えているのに、厨房で熱湯を沸かして出汁を調合し、廃棄時間を気にして具材を捨てる。深夜バイトが集まらない中、鍋の焦げ付きを落とす作業で店長の手首は腱鞘炎寸前でした。今パウチやレンジ容器に切り替わって、廃棄ゼロで利益が確実に残るようになり、経営的には救われたのが本音です」
一方で、一般の消費者からは哀愁と肯定の双方が入り混じった声が上がっています。
「仕事帰りの深夜、自動ドアが開いた瞬間に香る鰹節の匂いに救われていた。レジ前で店員さんに『大根と牛すじ、たまご』と注文するコミュニケーションが失われたのは寂しい」(40代男性会社員・SNS投稿より)
「昔は買っていたけれど、コロナ禍以降は誰が触ったか分からない蓋なしの鍋に抵抗があった。今の密封パックなら具材が煮崩れず、出汁も濁っていない。自宅の電子レンジで熱々を食べられる現在のパックおでんの方が衛生的に断然ありがたい」(30代女性医療従事者・知恵袋投稿検証)
情緒的な「温もり」を懐かしむ声は根強く存在するものの、一度定着した衛生意識とタイムパフォーマンス(タイパ)志向は、チルド包装への移行を必然として肯定しています。