この現象が世界的な注目を浴びる契機となったのは、2011年から2012年にかけてウクライナのキエフ、カナダのアルバータ州、ドイツ各地で相次いで撮影された動画でした。曇天の空を見上げる住民たちの頭上で、巨大な鉄板を引きずるような「空から聞こえる金属音」や、重厚なトロンボーンを吹き鳴らしたかのような超低周波音が数分間にわたって鳴り響き、街全体が異様な緊張感に包まれたのです。
当時の海外テレビ特番で取材に応じた現地の目撃者は、「まるで空そのものが軋んでいるような、どこから鳴っているのか方角が全く特定できない音だった。地響きとも違う、頭上全体から押し寄せる圧力に足がすくんだ」と証言しています。目に見える発生源が一切存在しないにもかかわらず、窓ガラスが微振動するほどのエネルギーを伴っていた事例も報告されました。
キリスト教圏においてこの現象は、新約聖書『ヨハネの黙示録』で神の怒りと世界の終焉を告げる「天使のラッパ」を想起させ、終末論やオカルトブームと結びついて急速にバイラル化しました。しかし、怪異として片付けられてきたこの音響の背景には、複数の物理的メカニズムと人間側の知覚特性が複雑に絡み合っています。