『木綿のハンカチーフ』に隠された真実|太田裕美の名曲を解読

『木綿のハンカチーフ』に隠された真実|太田裕美の名曲を解読

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この名曲の裏には、歌謡曲の歴史を変えた二人の天才による激烈な格闘があった。作詞家の松本隆と、作曲家の筒美京平である。当時、歌謡曲といえば「1番・2番・サビ」という標準的な構成が絶対的な常識だった。しかし、松本隆が提示した歌詞は、男女の対話のみで進行する長大な4番建てのストーリー。従来の形式を根底から覆す異例の試みだった。

筒美京平は最初、この長尺な歌詞に対して「曲をつけるのが難しすぎる」と難色を示したという。しかし、劇的な対比を生み出すメロディラインを構築し、男性パートと女性パートの感情の機微を鮮やかに描き分けてみせた。そして、その難曲に命を吹き込んだのが太田裕美である。湿り気のない、どこか無垢で可憐な歌声。過剰な湿っぽさを排除した彼女のボーカルスタイルこそが、悲劇的な別れの物語を上質なポップアートへと昇華させたのだ。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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