家庭料理の風景はここ数年で一変した。かつては酢、砂糖、塩、出汁を絶妙な按配で調合していた作業が、あらかじめブレンドされたボトル一本で完結するようになったからだ。この時短革命を牽引したのが、業界トップを走る株式会社Mizkanの「カンタン酢」をはじめとする調味酢群である。
忙しい現代人の救世主としてもてはやされ、ピクルスから肉料理の照り焼きまで幅広く使われるようになった。だが、利便性の追求は別の問題を生む。酢本来の酸っぱさが苦手な子どもでも食べられるように設計された味付けは、言い換えれば「酢以外の成分」が大量に添加されている証拠でもある。料理の手間が減った分、私たちが無意識に摂取している成分への警戒心が薄れてしまった現実は否定できない。