写真表現に先駆けて、映画界において加賀まりこの名を決定づけたのが、1964年の日活株式会社制作による映画『月曜日のユカ』である。中平康監督がスタイリッシュな映像美で描き出した主人公ユカは、夜の横浜を舞台にパトロンたちを翻弄しながらも、魂の純潔を保ち続ける希有なヒロインだった。ノーブラにトレンチコートを羽織り、気まぐれに街を歩く姿は、まさに日本ヌーヴェルヴァーグの象徴そのものだった。
日活株式会社が誇るモダンな美術と軽快なカッティングのなかで、彼女が披露した大胆なコケティッシュさは、従来の日本映画界が描いてきた「耐え忍ぶ女性像」や「因習に縛られた娼婦像」を完全に過去のものへと追いやった。加賀まりこが体現したユカの身体性は、男に媚びるためのエロスではなく、自由を謳歌するための生命力に満ち溢れていたのである。