教科書でおなじみの日清戦争の風刺画「魚釣り爺さん」に隠された驚きの真相は、単なる戦争の記録ではなく、「この争いで最終的に誰が得をするのか」を事前に警告した予言書だったという点にあります。
19世紀末、朝鮮半島では内政改革を巡って親日派と親清派の対立が激化していました。日本にとって朝鮮は自国の安全保障(主権線・利益線)に直結する生命線であり、清にとっても伝統的な冊封関係を維持したい防波堤でした。両者が一歩も引けない泥沼の外交戦を繰り広げる裏で、南下政策を進めるロシアは不凍港を求めて虎視眈々と好機をうかがっていたのです。
ビゴーがこの絵を発表したのは日清戦争が本格化する直前の時期でした。彼が伝えたかった決定的なメッセージは、「日本と清がアジア人同士で血を流し合えば、最も甘い蜜を吸うのは上空で構えるロシアである」という痛烈な皮肉でした。実際に戦争終結後、日本は下関条約で遼東半島を獲得したものの、ロシア主導の三国干渉によって返還を余儀なくされ、ビゴーの描いた構図が現実のものとなりました。