爪の中に異変を感じた際、読者の多くが直面する現実的なハードルが「何科のクリニックへ足を運べばよいのか」という受診先の選定です。結論から述べると、受診すべき科は「痛みの有無」と「発症状況」によって明確に分かれます。
ドアに強く挟んだ、家具の角に足の指を激突させたといった明確な外傷があり、激しい痛みや爪の割れ、指の腫れを伴う場合は、形成外科または整形外科が最善の選択肢となります。骨折の有無をレントゲンで確認できるほか、爪が剥がれかけている場合の爪床縫合術や、前述した爪甲穿孔術をスムーズに実施できる体制が整っているためです。特に指先の再建や爪甲の温存を専門とする日本形成外科学会専門医が在籍する施設であれば、治癒後の爪の変形を防ぐ専門的な処置が期待できます。
一方で、「ぶつけた覚えがないのにいつの間にか黒い」「痛みが全くないため何ヶ月も気付かなかった」「黒い線が爪の根元から伸びてきている」というケースでは、迷わず皮膚科(日本皮膚科学会認定専門医)を受診してください。ここでの最優先課題は外傷の手当てではなく、悪性黒色腫や母斑細胞母斑(ほくろ)、アジソン病などの全身性疾患、真菌(白癬)感染による爪の変色との正確な鑑別診断です。皮膚科クリニックであれば、患部を切除することなく組織の状態を数十倍に拡大して観察できるダーモスコピー検査を即座に受けることができます。