ノースプレインファームを語る上で欠かせないのが、日本の乳業史における革新者としての側面です。かつて全国的な社会現象となった「生キャラメル」は、大手タレント牧場の専売特許と思われがちですが、技術的源流として元祖の生キャラメルを世に送り出したのはノースプレインファームでした。素材の力だけで滑らかな口どけを実現した製法は、業界内に大きな衝撃を与えました。
大都市圏の店舗が閉鎖されると、一般消費者は「企業活動が衰退した」と捉えがちです。しかしノースプレインファームは真逆の道を歩んでいます。興部町の本拠地では、牛が口にする牧草の土壌づくりから見直し、化学肥料や農薬を使用しない「有機JAS認証」を取得。自社プラントで加工される有機牛乳や発酵バターは、国内外の一流シェフやオーガニック志向の強い層から熱狂的な支持を集め続けています。
経済合理性のみを追求して大都市でチェーン拡大を進める飲食ビジネスとは一線を画し、環境負荷を最小限に抑えながら持続可能な酪農を形にする。緑園都市からの撤退は、この揺るぎない理念を守り抜くための英断であったことが、現在の興部町本店の健全な経営状況からも証明されています。