息子の秘められた物語の一方で、役者・中尾彬が日本エンタメ史に刻んだ足跡は極めて大きい。1960年代に劇団民藝へ入団し、演技の基礎を徹底的に叩き込んだ彼は、やがてテレビと映画の双方で唯一無二の悪役・怪役・重鎮役を確立する。
NHKの大河ドラマをはじめとする重厚な時代劇はもちろん、『暴れん坊将軍』で見せた尾張藩主・徳川宗春の妖艶かつ大胆な演技は今なお語り継がれている。さらに90年代の特撮映画『ゴジラvsスペースゴジラ』に代表される平成ゴジラシリーズでの麻生司令官役は、映画ファンの心に深く刻まれた。現在ではNetflixなどのストリーミングプラットフォームを通じて、彼の過去作品が世界中でアーカイブ配信されており、その圧倒的な存在感は時代を超えて再評価されている。